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ギャラリー HANA 下北沢

マスコマユ 個展 「足元の硝子色」

2024年3月7日(木)〜12日(火)
OPEN12:00~19:00 *最終日17:00まで

Title: “ いつかの透光 ”  Oil on panel, 333×242mm, 2024

東京藝術大学解剖学研究室博士に在籍する若手アーティスト、マスコマユによるギャラリーHANAでの初個展。

マスコの専門とする美術解剖学とは、人体の構造である「骨格」や「筋肉」を研究し、その知識を美術作品に応用する学問です。正確な構造の知識に基づいた観察眼を養う事を、目的の一つとしています。「足元の硝子色」と表した今展では、マスコの博士論文のテーマでもある苔の作品が並びます。足元に広がる小さな世界に目を向ける、切っ掛けになる展覧会です。繊細な描画と独自の観察眼で表現された苔の作品は、日常に広がる世界に新たな発見を与えてくれるでしょう。

下北沢にお越しの際は、是非。

 

コケの画家の誕生
布施  英利(美術批評家・東京藝術大学教授)
マスコマユさんは、東京藝大の私の研究室で「コケ植物の美術解剖学」という博士論文を書いた。屋久島や長野の森に出かけ、自然のコケを観察し、コケに美を学び、それを絵画として表現するにはどう描いたらいいか、その手法を探究した。コケの美は「透明性」にある。それがマスコさんの結論で、透明性を浮き立たすのは、その背後にある「黒」だとも考えた。透明な青空の背後には宇宙の真っ暗な闇があるが、コケもそれと同じ、光と色彩の小宇宙なのだ、と。
マスコさんは、高校の時は生物部で、大学の卒業制作でも植物の葉緑体を使ったインスタレーション作品を展示した。ずっと、自然と美術の境界を生きてきた。しかしこれまでは、眼球や肌など人体をモチーフとした絵画を多く描いてきた。今回、博士論文でコケと取り組んだからか、コケをモチーフとした。コケ、コケ、コケの個展である。いま、コケの画家が誕生した。

 

artist Profile:マスコマユ / Mayu Masuko
Instagram: https://www.instagram.com/mayu_masuko/

 1996年東京都生まれ
2019年東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
2021年東京芸術大学大学院美術研究科博士課程芸術学専攻美術解剖学研究室在籍

 主な展示、受賞歴に、「褪せていく血液と変わらない光」(2020年、ギャラリー美の舎、東京)、「アートオリンピア2019」展覧会(2019年、東京都美術館、東京)、第3回アートオリンピア学生部門 優秀賞入賞(2019年)、「シェル美術賞展2020」(2020年、国立新美術館、東京)、シェル美術賞2020 入選(2020年)、明日を開く絵画 第41回上野の森美術館大賞展 入選(2023年、一次賞候補)、個展「その水が澱むころ(2023年、フリュウ・ギャラリー、東京)」、平山郁夫奨学金 受賞(2023年)、資料掲載「コケ植物の絵画的考察」『蘚苔類研究』12巻12号(2023年)など。