微かに思い出されるような記憶の風景を頼りに、ノスタルジックな作品を描き出す水落 彩。 HANAでは2回目となる今展では、100号の大作から小品まで、様々な少女や花の絵を出品する。
「ミームという言葉に出会った。
文化の遺伝子という意味合いの言葉だ。
言葉との出会いは、声なき声に、道なき道に形を与えてくれる。
私がなぜ少女に固執して制作をしているかというと
単純に自己の投影なのかもしれないが、それ以上に
別れてしまった過去の友達や、思いびとのことがあると思う。
その子を描いてる、というよりは、その子を見つめている感情、
そんなようなものを描きたいと思っている。
人は外界の影響なしには生きていけない。
忘れられない「あの子」や「あの人」、きっと彼女、彼らの
見つめていたものは、世界のどこかで乱反射して
私の心に投影されているのだろう。
制作をしながら、人を思う。
黙々と手を動かしながらも、身体の内側で呼んでみる。
それは私だけの秘密であるけれど、声なき声、道なき道に形ができた時
内側の秘密もきっと姿を表す。
脈々と流れる「あの子」の遺伝子が、いつか実をつけるようになるまで
それまで描き続けていきたい。」 水落 彩