過ぎて行く季節に微かな風を感じて歩く。
束の間の雨はあがり、街の片隅にできた水たまりは消えてゆく。
移ろう時は、過ぎ去る街に似ている。写真は時間の痕跡しか残さない。
にもかかわらず描写されたかたちからはそれ以上のものを感じる。
観光客が来ることもなく、足をとめる人もいない。
今ではあるかなしかの町。
いつ立ち寄ったのかも不確かな記憶は遠ざかってゆくのに。
そういえば、バスが走り去った後もずっと煙をみていた。
遥か遠い日の独り追いかけた想い、今も抱いてあるきつづけている。