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ギャラリー HANA 下北沢

長野 順子 銅版画展 「絵空事三昧」

2019年 9月14日(土) - 23日(月・祝)
OPEN 11:30-19:00 *休廊日: 9月17日(火) | 作家在廊日: 14日,15日,16日,18日,21日,22日,23日

  色とりどりの果物で彩られた宝石のような洋菓子や、季節の花々や水の流れまでも模った和菓子などは、職人が美を表現した食の造形だと思います。作り手の想像力が盛り込まれた甘味の数々との出会いもまた私を空想の時間へと誘ってくれます。

  例えば、趣のある店構えに誘われて扉を開ければ、美しい菓子たちが待ち構えています。困ったことに、この甘い食べ物はヒトを誘惑します。創作菓子に付けられた個性的な名前もまた興味深く、可愛らしかったり、謎めいていたり。あれこれと迷い悩んだ末に選びぬいた宝石のようなお菓子たちは、丁寧に箱に詰められ綺麗なリボンを架けられて、“お楽しみ”の宝箱に封印されます。

  大切に持ち帰った宝箱の封を切り、魅惑の甘味たちとの再会。口にするまでの高揚感、口にした時の幸福感、そして後を引く味の記憶。更に少々の罪悪感も伴うからでしょうか、甘いお菓子は創作者の想像力をかき立てるようです。例えばおとぎ話に小説に映画に…、創作者は度々魅惑的な小道具として各々の作品にお菓子を登場させます。背徳の甘さ…、などと言ったら大袈裟かもしれませんが、創作意欲に火を灯す要因がそこには隠されているのでしょう。

  さてさて、言葉を尽くしたところで、結局は甘味の誘惑に屈した言い訳とお笑い下さい。

  空想の糧に満たされて紡ぎ出した絵空事の数々。心置き無く味わっていただければ幸いです。

長野 順子

 

artist profile
長野 順子 / Junko Nagano

1966  群馬県出身
1989  東京芸術大学美術学部建築科卒業
1991  東京芸術大学大学院美術研究科建築専攻修了
5年間の設計事務所勤務後美学校にて、吉田克朗氏、清野耕一氏のもとで銅版画を学ぶ

1998  世田谷美術館区民ギャラリーにて初個展
以後、東京・大阪・群馬・新潟・岡山・鳥取・石川等、各地で個展を開催
2000  群馬県高崎市のアトリエで制作を始める
2008  木村威夫監督の映画「夢のまにまに」の劇中に銅版画作品が使用され、2008年10月より全国各地で上映
2010  高崎市とプルゼニ市(チェコ共和国)との姉妹都市20周年記念事業
「日本文化の日」の一環として、 イジー・トルンカ ギャラリー(プルゼニ市)にて個展を開催。

2017  作品集「果て無き世界へ」を刊行2017年以降、LIXILの卓上カレンダーの原画制作を務める
海外でも招待作家として、多数の展覧会を開催する

<主な受賞・入選歴>
2005  版画フォーラム2005 和紙の里ひがしちちぶ展 入賞
上毛芸術文化賞美術部門 受賞
2007  イタリア・ボローニャ国際絵本原画展(2007・2010)
Prints Tokyo 2007
2010  第55回CWAJ現代版画展(2010・2011・2012・2013)
第33回FISAE国際蔵書票会議(トルコ)
2011  日本書票協会公募展–2010名古屋大賞
第23回マルボーク現代蔵書票国際公募展(ポーランド)
第6回子供のためのイラストレーション国際公募展(イタリア、パドバ)(2011・2015)
第8回高知国際版画トリエンナーレ展(2011・2013)
2012  シャルジャ・児童書のためのイラストレーション展(UAE、シャルジャ)(~2016)2015年 2位入賞

〈挿画の仕事〉
2001  女性のためのアンデルセン童話1「みにくいアヒルの子」(小さな出版社)
2002  女性のためのアンデルセン童話2「おやゆび姫」(小さな出版社)
「天山逍遥・平野秀哉詩集」(詩画工房)
2005 「ぼくとひかりと園庭で」著:石田衣良(徳間書店)
2013 「ダックスフントと女王様」著:メラニア・G・マッツッコ、訳:栗原俊秀(未知谷)
2014 「ミニシアター 最後の星」著:十一谷朋代(未知谷)
2015 「虹色峠」著:十一谷朋代(未知谷)
2017 「時の鐘」 十一谷朋代 (未知谷)